2013年11月6日水曜日

映画「約束・名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」

 上映を楽しみにしていた「約束」をシネマテークたかさきで観ることができた。
 獄中から無実を訴えている死刑囚奥西勝の事件から現在までを映画化したもので、若い日の奥西を山本太郎が演じ、獄中でたたかう今の奥西を仲代達矢が演じる。母親役は樹木希林、ナレーションは寺島しのぶという豪華キャスト。
 阿武野勝彦プロデューサーと齋藤潤監督の渾身の作品だ。
 
 昭和36年、三重県名張市の小さな村の懇親会で、ぶどう酒を飲んだ女性5人が死亡した事件で、逮捕された奥西は一度は「自供」したが、その後、「警察に自供を強要された」と主張し続ける。
 1審無罪、しかし控訴審で死刑判決、昭和47年最高裁で死刑確定。戦後唯一の無罪からの逆転死刑判決となった。
 事件から51年、際限なく繰り返される再審請求と棄却。名古屋高裁で再審が認められたが、最高裁でまたも棄却。
 その間、奥西は2桁を越える死刑囚が処刑台に行くのを見守った。
 判決に怒りながらも、裁判に期待するしかないところが本当に悔しい。
 裁判官が生きる世界の狭い風通しの悪さも明らかにし、えん罪の犠牲者を救おうと、奥西を支える弁護団や多くの市民の姿も活き活きと描き切ってる
 
 
 《日本の刑事司法がこれほどに歪みきった要因のひとつはメディアにある。ならばメデイアには期待できない。
僕も含めてそう考えてしまう人たちは、絶対にこの作品を観るべきだ。メデイアはここまでできる。これほどに強い力をもつ。
一貫して司法の歪みを問い続ける阿武野プロデユーサーと齋藤監督は、また新しい地平を開いた。見事だ。彼らは仕事を終えた。次は観た側が動かなければ》 
森達也監督の言葉に勇気をもらおう。
 
 シネマテークたかさきの宣伝をしてしまうようだが、おすすめの作品がいっぱいある。
「約束」は15日まで。
「ハナ・奇跡の46日間」と「世界が食べられなくなる日」は22日まで。
 
 一人一人が自信をもって行動すれば、「日本を取り戻そう」などと「戦前の日本」を取り戻そうとしている安倍政権を葬り去ることができる。
 

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