2019年2月19日火曜日

映画「眠る村」・シネマテークたかさき

ドキュメンタリー「眠る村」

『「ヤクザと憲法」「人生フルーツ」など数々の社会派作品を送り出してきた東海テレビ製作によるドキュメンタリー劇場版の第11弾。戦後唯一、司法が無罪から逆転死刑判決を下した事件として知られる「名張毒ぶどう事件」の謎を追った。三重と奈良にまたがる葛尾で昭和36年、村の懇親会でぶどう酒に混入されていた毒物による中毒で5人が死亡し、当時35歳の奥西勝が逮捕される。一審で無罪となった奥西だったが、二審で死刑判決、そして最高裁は上告を棄却。昭和47年、奥西は確定死刑囚となり、独房から再審を求め続けたが平成27年10月、獄中で帰らぬ人となる。本作では、奥西の自白の信憑性や、二転三転した関係者の供述、そして再審を拒む司法など、事件から57年を経たいまも残る多くの謎に迫っていく。獄中の奥西の半生を描いた劇映画「約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯」で奥西を演じた経験のある名優・仲代達矢がナレーションを担当。』

  何人か被疑者はいたが、厳しい取り調べにより奥西勝が「自白」後、廻りの人の供述も、その流れに沿って変わっていく。
 ぶどう酒の栓を歯で開けたとするが歯形が違う。瓶に貼ってあるラベルを貼り直した痕跡があるなど科学的な証拠を提供し再審に持ち込んでも、裁判所は「自白」を優先する。
 供述の変更をした人物に話を聞いても、「勝が自供したのだから、それが全てだ。歳をとり関係者がいなくなれば、みんな忘れる」と話をそらす。
 当時の村の中で奥西勝は若く孤立していた、相談する人や守ってくれる人がいなかった。そういう村の目に見えない大きな力関係の中で、彼が一端「自白」したら、誰も守ってくれず、むしろ「犯人」として排除することで一件落着とする村の体質も描く。
 もう一度観ておきたい作品。
3月1日までシネマテークたかさきで上映。

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