群馬県玉村町の町長「石川まさお」のブログです。 「瞬間」と「悠久」は決して対立的な言葉ではなく、「瞬間の中に悠久」が、「悠久の中に瞬間」はあります。何かと対立関係で世の中を見ようとする流れに抗すべく、みんなが集える庵を構えました。 新自由主義政策により社会の格差が広がり、荒んでいくのをくい止めるべく、地域に根ざした活動をします。
2010年10月7日木曜日
八ツ場ダム建設地と吾妻峡を訪ねる
東吾妻農協に行ったついでに、川原湯温泉と吾妻峡を訪ねた。ヤンバ館は県外ナンバーのバスや自家用車での見学者が大勢いて、廃止か推進かで注目を集める昨今、見学者が増えているのだろう。温泉町は深刻な状況だ。スキー帰りに時々寄っていた吾妻川沿いの麦とろご飯のうまい店のすぐ下にダムサイトの一部かと思われる構造物ができていた。美しい吾妻峡を景観的にも破壊するものだ。強酸性の川に不要のダムを造ってはいけない。
豊田嘉雄著「湖底の蒼穹(そら)」を今読み返している。豊田さんの自伝的書物だが、ダムに終生反対し続けた思いが書き連ねられている。私自身一泊世話になり豊田さんからさまざまな話を聞かせていただいた「やまた旅館」を思い出しながら、そのなかに書かれている歌を敬意を込めていくつか記す。
全山の闇 占めて鳴く仏法僧
ふるさとを追われる不安誰知るや ダム計画の非情うらめし
いち早く利権行為にボス踊る ダム予定地村の現実
今にして故郷愛す啄木の 歌が身にしむダムの恐れよ
ひたむきにダム建設を阻止すべく 対策会議幾夜つづくも
鎮魂の歌
コスモスの花ゆるるまま退院す
ふるさとが湖底に沈む少し前 花の咲く頃ぽっくり死にたい
ダムの話今日こそすまじと思いしが 湯客に聞かれまたも話せり
憤怒して自民党県議幹事長の術中に落ちし苦き思い出
気負いてはダム反対を叫びしが 今は静かに理論で迫る
敗れても敗れても幟立てかえて ダム反対の証守らん
湖底となる母校は明治年代の木造校舎に孫学び居る
ダム補償目当てにどっと八0棟 別荘とかや主見えず建つ
ダム賛否烈しく対立したる友も 老いて互いに体気づかう
ダム阻みふるさと守りとうさんと 精魂尽きて兄は逝きたり
もろもろの花咲き鳥も鳴けどれも 所詮湖底となる嗚呼ふるさとか
この世去るとき来るとも ふるさとを湖底に沈めることは許さじ
青春は兵役に埋没 後半生ダムと対決 命足らざる
私の年齢と同じ57年経ってもできないダムはいつまで経ってもできない。改めて現地の人たちの生活再建を喫緊の課題とすべきだ。
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