群馬県玉村町の町長「石川まさお」のブログです。 「瞬間」と「悠久」は決して対立的な言葉ではなく、「瞬間の中に悠久」が、「悠久の中に瞬間」はあります。何かと対立関係で世の中を見ようとする流れに抗すべく、みんなが集える庵を構えました。 新自由主義政策により社会の格差が広がり、荒んでいくのをくい止めるべく、地域に根ざした活動をします。
2011年1月23日日曜日
菅政権は朝鮮高校への「授業料無償化」を決断しろ。
昨年から積み残されていた忘年会を新年会に切り替え、朝の妙義山に浮かぶ月を目に焼き付け、仕事で埼玉県の比企郡吉見町に行った。互いに都合を付けての仕事だが、30分程度で終わったため、久しぶりに百穴に向かった。遠くへ行った時、時間があれば必ずその辺をうろちょろする習性があるのだ。
「吉見の百穴」は1300年前の古墳時代末期の横穴墓群で当然歴史遺産だ。そこを歩いて行くと大きな坑道の入口がある。地下軍需工場跡地だ。太平洋戦争末期、各地の軍需工場が米軍に攻撃され大被害を受けたので、この地に軍需工場を建設しようとしたのだ。戦争の論理、軍の論理は歴史遺産など関係なく、今の戦に勝てるか否かが一切の判断の基準になる。バーミヤン遺跡を爆破したタリバーンのようだ。事実、古墳時代の遺跡の相当部分を破壊し、地下に大坑道をつくり、本格的生産に着手する直前終戦となった。現在は百穴と軍需工場が合わせて歴史遺産のようになっているが、敗戦がもう少し遅れていれば、遺跡もろとも軍需工場が破壊されただろう事は予測できる。その意味で、ここにも歴史の教科書はある。そしてもう一つ忘れてはならない事は、軍需工場建設に動員されたのは、全国からかき集められた朝鮮人労働者という事実、3000人から3500人の朝鮮人は昼夜を通した突貫工事で、ダイナマイトによる発破などの危険な作業を強いられた。人海戦術の作業だった。敗戦後、掘削工事に従事した最後の朝鮮人の帰国に際し催された懇談会の席上、朝鮮と日本の平和を希望したムクゲの木を植樹することになり、今でもそのムクゲは育っている。
大日本帝国の朝鮮植民地政策により日本に来て、強制労働に駆りたてられ、戦争に動員され、さまざまな困難を日本人以上に強いられた数多くの朝鮮人の子ども達、孫達が現在の在日朝鮮、韓国人だ。歴史的経緯からしても日本政府は彼らの生活保障に責任が有ることを自覚すべきだ。在日朝鮮人、韓国人に対してこそ真っ先に手をさしのべるべきと考えるが、何故、「高校授業料無償化」から朝鮮高校だけを排除するのか。
こんな事をしているから日朝国交回復も「拉致問題」もその入口にさえ入っていけないのだ。在日の子ども達からうらみを買うような教育差別は未来に尾を引く。気まぐれな「支持率政治」でふらふらすることなく、「日本にいる子ども達の教育は均しく政府が責任を持つ」として毅然とした姿勢を示せばいいだけのことだ。菅政権はしっかりしろ。
「記憶・反省そして友好」の追悼碑を守る会の要請書が送られてきたので、無断掲載する。
2011年1月16日
内閣総理大臣 菅 直人 殿
内閣官房長官 枝野幸男 殿
文部科学大臣 高木 義明 殿
「記憶 反省 そして友好」の追悼碑を守る会
朝鮮学校への「高校無償化」即時適用を求める要請書
今年4月に施行された「高校無償化」法から朝鮮学校だけが「一時除外」されている状態が、いまも続いています。これは民主主義の原則に反する重大な差別・人権侵害であり、また戦後ずっとつづいている在日朝鮮人の民族教育への弾圧の一貫であって、許されるべきことではありません。ゆえにわたしたちは、朝鮮学校への一刻も早い「無償化」適用を、文科省および政府にもとめてきました。
昨年11月5日、文科省はようやく、朝鮮学校への適用の審査基準を「正式決定」しました。たびかさなる結論引き延ばしがあったにせよ、これ自体はきわめて妥当であり、評価されるべきことです。しかしながらその矢先の11月24日、前日におきた大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国との砲撃戦を受けて、朝鮮学校への適用にむけた手続きは停止させられました。わたしたちはその直後に、この不当きわまりない措置に責任のある菅首相、仙谷官房長官、高木文科相に、同措置への抗議と即時適用の要請を申し入れました(11月29日)。
それから1ヶ月あまりが経ち、年も明けてしまいましたが、いまだ手続きは再開されていません。しかもそのあいだに、新潟、北海道など多くの道県ならびに市区町村の自治体が、朝鮮学校を無償化から排除することを求める意見書を決議し、朝鮮学校を「反日的」などと見なす悪質な風潮を煽っています。こうしたことにも、今回の政府による「手続き停止」は責任があります。昨年2月以降、政府があれこれと理由をつけて朝鮮学校への適用の是非を取り沙汰するたびに、社会や地方自治体で排外的風潮が煽り立てられてきました。それと同様、今回の「手続き停止」も、無償化適用を等しく受ける朝鮮学校生徒の当然の権利を妨げているだけでなく、在日朝鮮人全体への差別を煽り立てるものであり、二重に許せません。
高木文科相は1月7日の記者会見で、「早ければ来週にも」手続きの再開について菅首相と話し合うと発言し、「年度内に無償化の是非を決めるのが難しいという意見もあるが、努力していきたい」と付け加えました。年度内に適用の是非を決めるためには、もう時間がありません。もし今年度に適用がなされないならば、朝鮮学校高級部を卒業する生徒たちに対しては、現在進行中の「適用除外」による差別を埋め合わせることが、永久にできなくなるでしょう。そうなる前に、一刻も早く、朝鮮学校への無償化適用手続きを再開させるべきです。
したがって、わたしたちは日本政府および文部科学省に、以下の通り要請します。
記
1.朝鮮学校への「高校無償化」法の適用を、すみやかに最終決定すること。
2.朝鮮学校の教育内容に対して介入しないこと。
3.朝鮮学校への適用の審査には「外交上の配慮」を含めないという政府の方針を堅持し、日本政府と朝鮮民主主義人民共和国政府との間にいかなることがあろうとも、朝鮮高校への「高校無償化」適用の手続きを停止したり、これまでの決定を覆したりしないこと。
4.本来ならば「高校無償化」法が施行された2010年4月までに結論を出しておくべきものを、いまだ結論が出ていないという事態について、また、政府の態度が結果的に朝鮮学校への差別を煽ったことについて、朝鮮学校および生徒と保護者に謝罪すること。
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