中・韓・朝 外交が非常事態だ。
野田政権の外交には見事にあきれ果てた。
釣魚島(尖閣列島)、独島(竹島)の領有権を巡り、中国、 韓国とすごいことになってきた。
領土問題には相手があり、お互い言い分がある。一方の主張だけ通して済むなら、もうとっくの昔に解決している。
まして両国の場合、日本が侵略戦争で深い傷を負わせた中国、一方はこれまた植民地支配し苦しめた韓国・朝鮮という歴史的経緯を無視しては解決しない。
日本の主張は、それらの背景を全く無視し、自分の主張の正当性だけを言い張りナショナリズムを煽るだけのこと。
相手国には全く通用しないことも理解できないセンスには怒りさえ沸く。
今回の尖閣問題の発端は、石原慎太郎東京都知事の「尖閣買い取り発言」からだ。
石原の威勢のいい発言に10億円以上の寄付が集まる、というのだからこれまたあきれた話だが、この石原という無責任な極右人物の煽動にこれ以上乗ってはならない。
又、自民党総裁選に立候補している安倍晋三もひどい。
彼は「狭義の意味での強制はなかった」と言い張り、従軍慰安婦問題で旧日本軍の強制性を認めた1993年の河野談話を攻撃する。
しかし、張本人の安倍自身が首相だった時、自身の発言を巡り、中・韓両国やアメリカの批判を受け、「誤解され伝わったのは遺憾」と釈明、河野談話を継承する立場だったことをもう忘れているわけではあるまい。全くの無責任。
彼らは、「世界最終戦論」を記し、関東軍参謀として板垣征四郎らと1931年9月18日「柳条湖事件」引き起こし「満州国」建国により中国侵略の火付け役をし、その責任を全く取らなかった石原完爾と同列だ。
そして、前の二人に輪をかけた軽薄・軽量な無責任男・日本維新の会の橋下徹もこの極右戦線に加わるのだから始末が悪い。日本の未来は暗い、ヤバイ。
この連中こそ国を滅ぼす「国賊」であり、彼らが跋扈する現在の状況こそが「国難」といわずなんと言う。
しかし、これらの面々、自分では汗をかかず、大衆を煽るだけ、という特徴がある。
煽られなければいいのだ。キチンと反撃すれば、すぐ腰砕けになるのがこれまた特徴。
日中戦争、太平洋戦争もこのような右翼、国家主義者たちが「・・・は国家の生命線」などと国民をだまし、煽り、戦争をしかけ、最後に原爆を落とされるまで止めるに止められず、国土が焦土と化した後の戦争責任すら取らなかった。
その無責任な歴史を繰り返してはならない。
日中間の厳しい状況の中、バネット米国国防長官にその仲介を依頼しようとする玄葉外相の姿は痛々しい。
石原慎太郎に煽られ、中国に喧嘩を売り、相手が本気で怒り出したら、「これほど怒るとは思わなかった。同盟国のアメリカに助けてもらおう」では、まるでアメリカの属国。
事実そうだが、こういう場面をあからさまに見せられると、つらいものがある。
81年前の今日(1931年9月18日)、中国侵略の発端となる「柳条湖事件」を日本軍は引き起こした。
当時の中国は清朝崩壊後の混乱期で国力は弱かった。そこに乗じられた侵略であり、中国人の無念は深かった。中国ではこの日を「恥を忘れないための記念日」として深く胸に刻んでいる。
中国大陸を島国の日本に侵略された傷の大きさと怒りの深さを、まず理解することから始めないと外交はできない。
それこそが加害国の基本的責任との自覚がなければならない。
野田首相を筆頭に松下政経塾出身議員の能力では、本当の人の気持ちが理解できず、人の道を求めようとする外交ははじめから無理なのだ。
しかし、自民党総裁選候補者の面々もこれまたひどい。
もう一度戦争でもやらかしそうな勢いだ。例外なく、「日米同盟の強化」を念仏のように唱える。これでは日本に未来はない。
そこで、週刊金曜日9月14日号の「もはや時代遅れとなった日米同盟との決別を」と題する進藤栄一筑波大学名誉教授の記事を紹介する。
〈鳩山由紀夫元首相が提唱し政権交代時のマニフェストにも明記されていた東アジア共同体構想は、続く菅前首相が外交に疎く、民主党の政権を担う準備不足もあったが、構想を警戒した米国が「ジャパン・ハンドラーズ」と呼ばれる日米間の仲介人を使って圧力を加え、さらに彼らと気脈を通じた日米同盟を絶対重視する「朝日」や「日経」といった大手メデイアが、「米国に刃向かえば生きていけない」といったバッシングを鳩山元首相に繰り返したためだった。
では、なぜ米国が東アジア共同体構想を危険視したのか。それは東アジア共同体構想が実現すれば否応なく米国はそこから排除されて、日本が自立の方向に進みかねず、米国の世界的な軍事戦略にとり不可欠となっている国を好き勝手に利用できなくなる可能性があると考えたからだ。
冷戦後の米国の戦略を構想したブレジンスキー元国家安全保障問題担当大統領補佐官は著書「グランド・チェスボード」で世界を米国の①同盟国②敵対国③進貢国の三つに区分し、日本を進貢国と位置づけている。
今も世界最大級の軍事基地を沖縄に温存させ、在日米軍に年間1800億円の「思いやり予算」を支払っている日本という進貢国を失うことは米国にとりあってはならないことだった。
東アジア共同体は欧州共同体など他の地域共同体と同じく主権国家同士の紛争を平和的手段で解決して、国家同士のいがみ合いを乗り越えることを理念としている。
実現すれば、日・中の本格的和解が訪れ、中国、北朝鮮を仮想敵国にし続けて軍事的緊張状態を作り上げ、それにより日本を軍事同盟に縛り付けておく米国の狙いが崩れかねなくなる。
それでも米国がどのように反対しても東アジア共同体が現実化する流れを押し止めることはできないだろう。
米国自身のパワーが低下している一方で、東アジア共同体の経済統合はこれからも一層進展することは確実だからだ。
日本の対外貿易に占める最大の相手国は1978年当時、米国38㌫、中国1㌫だった。しかし、現在、両国はそれぞれ13.2㌫、23㌫になり、アジア全体は50㌫を越え、近いうち60㌫に達するとされている。
貿易相手として十数㌫にすぎない米国だけに依存し、60㌫になろうとするアジアを重視しない政策はもはや現実離れといえる。
もともと東アジア共同体構想は、2003年開催の首脳会談で東南アジア諸国連合(ASEAN)を軸に日本と中国、韓国のプラス三カ国も加わった形で、東アジア地域の平和と繁栄に貢献する地域共同体の実現に向け第一歩を踏み出した。
重要なのは、経済の取り決めを国境を越えて進めていこうという基本理念に加えて、軍事基地も軍事同盟も排する非同盟・非軍事を謳ったことで知られる1977年インドネシアのバンドン会議の精神を受け継いでいる点だ。
そのためASEANではこれまで、小規模な衝突を例外に加盟国の戦争は起きていない。
ASEANの平和主義は現在の欧州共同体をモデルにしている。
EUは戦前にオーストリアの政治家だったルヒャエル・クーデンホーフ・カレルギーが唱えた「友愛」思想を基盤とする欧州統合の理念が原型となる。
戦後の1950年、フランスとドイツは長年の紛争の種だった石炭と鉄鋼の生産地であるルール地域の共同管理を宣言した。
資源や領土を巡る国家同士の争いは、血を流し財産を浪費するだけで全く無意味なエンドレスゲームになるという教訓が活かされた。
ASEANは、こうした経済統合から国家同士が争わない不戦の共同体へと向かったEUの歴史も学び実践している。
もはや戦争を前提とした日米同盟は過去に遺物となり、東アジア共同体こそ21世紀の日本が目指すべき選択肢にほかならない。〉