2010年8月29日日曜日

袴田事件をもとに創られた「BOX」 髙橋伴明監督

政権交代の成果が見られないとよく言われる。そうはいってもまだ1年だから長い目で見ようよ、と言う人もいる。
しかし、えん罪に関して言えば、その再審は喫緊の課題だし、代用監獄に象徴される明治時代の遺物になにも手をつけられない新政権ていかがなものでしょう。弾圧を欲しいままにしていた権力側が青くなるような改革をすることを政権交代の中にに求めている人はたくさんいるのに、自民党政権と全く変わらないのではどうにもならない。

袴田事件で描かれているものは、代用監獄での過酷な拷問ともいえる取り調べの中で、「とにかく自供しろ、裁判で争えばいいんだから」と強制された自白でさえ、いざ裁判になれば、その自白の任意性を裁判所が否定することはほとんどない。1年後に不自然に発見された下着類を事件の証拠にさえして、当初の検察側の主張との齟齬すら見逃し死刑判決を下す。裁判を人生の出世の道具にしている裁判官が多くいる中で、良心と正義を貫こうとしている裁判官を描いた作品。

裁判員裁判で死刑判決さえ予想される今日、改めて裁判員制度の是非を考えるためにも必見の作品。
シネマテーク高崎で9月3日まで。

2010年8月25日水曜日

死んどるヒマはない 益永スミコ 86才

平和のためなら、憲法を守るためなら、党派なんていう小さな世界など縦横無尽に飛び越えて、今も闘い続ける益永さんのドキュメンタリー映画ができた。今年3月ビデオプレスで制作されたもので、今日初めて観た。とにかく反戦平和のためには「死んどるヒマはない」という女性だ。知り合ってから10年以上だが、その動きの良さには頭が下がる一方だ。私の後援会ニュースにも記事を書いていただいたこともある。
今年の暑い夏も署名活動等をしているという。群馬でこの秋にでも元気な益永さんに会えることを楽しみにしている。とにかくまっすぐ、正しい事をひたすらまっすぐ、明るく貫徹する人はそうはいない。

この作品を井筒和幸監督が観たいと言っていたので、土田君を通じて明日にでも送るつもりだ。5年ほど前、パッチギ上映会を玉村町で行い、その打ち上げの席上に、益永スミコさんは来ていて、「片岡死刑囚と養子縁組をした人」ということ知り、監督は特に強い印象を持っていた。井筒監督の直感として益永さんのことを「信じられる人」と思えたのだと思う。

2010年8月24日火曜日

群馬朝鮮学校の生徒のブルーベリー摘み


かねてから計画していた群馬朝鮮学校の生徒たちのブルーベリー摘みが23日に安中市内のブルーベリー畑で猛暑の中行われた。11時頃からの1時間半程度だったが、地元の人々の協力も得て、子ども達は甘さも増したブルーベリーを摘みながら食べていた。子ども達は暑さを吹き飛ばすほどみんな元気だ。この数年間、いちご狩り、ミカン狩りをしてきたが今年はブルーベリー、在日の子ども達が日本の人々と交流し元気に育ってくれることを期待する。子育ては社会の責任だ。

ドキュメンタリー映画「弁護士・布施辰治」の上映会の知らせが届いた。
1.10月2日(土)午後6時半から高崎市総合福祉会館2階 たまごホール、
2.10月9日(土)午後2時から群馬県総合公社ビル(前橋市大渡町)
「生きべくんば民衆と共に、死すべくんば民衆のために」と題し、朝鮮を植民地にした時代、差別、抑圧された朝鮮人民のために弁護活動を行った布施辰治の人生を描いた映画だ。韓国併合から100年目の今年、政府が情けない「韓国に向けた談話」しか発表できない状況下、渾身の力を込めて世に問える作品だ。是非必見の事。

2010年8月22日日曜日

吉井町・星空の上映会

 昨夜、吉井町鏑川ほとりでの「星空上映会」に行き、山田洋次監督「おとうと」を観た。吉永小百合と鶴瓶のコンビはいいね。どこにもある家族の姿を社会の有り様の中で描いている作品で、視点もいいと思うけど、国際映画祭だと、なかなかなんだよね。若松監督のキャタピラーは強烈に訴えているところが国際映画祭では受けるのだろうか。映画評論は難しい。観る人の感性もそれぞれ違うのだから、それぞれが勝手に評論すればいい。

 野外上映なので、どんな感じかと思ったが、鏑川の川原にトラックを持ち込み大きなスクリーンを張り、土手上から映写するという方法。300人程の観客は土手に座って、本当に星空の中での映画鑑賞、栗原君の虫よけ対策の効もあり無傷ですんだ。時々の涼風が気持ちよかった。
 この鏑川は太平洋戦争のとき、吉井町で唯一、米軍機の銃撃を受けたところ、川で遊ぶ子ども達が機銃掃射を受けた場所を選んでの上映会場。「戦争は破壊と悲惨をつくるだけで何も生み出さない。平和の大切さを伝えたい」との思いで1995年から上映運動を行っている「よしい星空の映画祭」。こだわっている人達の運動は強い。

2010年8月19日木曜日

興味深い玉村八幡宮の絵馬展  会場 玉村町文化センター

玉村町文化センターで8月28日まで開催されている玉村八幡宮の絵馬展へ行った。2度目だ。時間をとりゆっくり鑑賞した。特に「張良図」はいい。説明文を読み進むと、絵の内容が理解できる。張良は漢の三傑といわれる政治家で、周の軍師黄石公との出会いを画いた絵馬だ。
他に興味をそそったのは2枚の神功皇后と幼い応神天皇を抱く武内宿禰図。神功皇后は第14代仲哀天皇の皇后で、新羅遠征を行い、その途中で懐妊、帰国後、応神天皇を産んだとされている。その遠征のなかで仲哀天皇は死んだ。仲哀の死が2月6日で、応神の誕生が12月14日だから、ぎりぎり[10月10日]のなかに収まるから仲哀天皇の子だという言い分らしいが、父親はもっぱら武内宿禰と言うのが通説という。絵馬を奉じた江戸の時代もそうだったことがうかがえる絵馬なので大変興味深かった。
これでは万世一系はとぎれてしまう。武烈天皇のときもその代で実はとぎれた。次の継体天皇は明らかに一系の人ではない。その辺に感心を持ち、関裕二著「継体天皇の謎」を読み進めている。
また、「韓信股くぐり図」もいい。中国の名将韓信が若いとき、町の乱暴者に自分を刺すか、できなければ股をくぐれと挑発されたとき、黙ってその者の股をくぐる辱めをあえて受けた。後に大成したことから、大志を抱く者は目の前の苦労や屈辱に耐えなければならないという教えだという。
 当時も中国からの様々な教えを日本の大衆文化は受け入れていたことを示すものだ。この他にも「羅生門図」「義経弓流し図」田口7兄弟から奉納された「流鏑馬図」などたくさんの絵馬が展示されている。

2010年8月17日火曜日

突然の井筒監督の訪問にも的確に対応する


盆送りも済ませた頃、五料産業の土田社長から「これから井筒監督が来るので時間があったら顔を出して」という電話があった。猛暑でバテ気味だったのでビールを飲んで寝ようかと思っていたが、監督が来るなら話し相手も必要だろうと、夜道を自転車でホルモン屋に行くと、すでに土田夫妻、シネマテークの志尾支配人、小林さん、新婚の田中島さんの娘さん夫妻もいて、監督のひとり語りで盛り上がっていた。
 都会にいると、玉村町がのどかでいいのだそうだ。気楽な関係の土田文月もいるし、焼き肉を食べながら気楽な仲間でさまざまな語りをするのが清涼剤なのだろう。
 政治的臭覚は鋭く権威に対しては「そんなものなんぼのものよ」と反発力は相当なもの。次の映画は部落差別を描くことにより日本社会を暴き出したいとのこと。
まあ、とかく映画監督は個性的というか強烈のキャラの人が多い。物事の本質を暴こうとすると一般受けしないことを恐れず映像化する。若松孝二監督にしてもそうだ。閉塞感一杯の時代、何を言われても自己主張を貫徹する人が必要だ。井筒和幸監督もその一人だろう。
「連帯を求めて孤立を恐れず,力及ばずして倒れることを辞さないが、力尽くさずして挫けることを拒否する。」

2010年8月16日月曜日

本当に戦争に反対するってどういうこと

8月15日になると、マスコミは戦争の特集を組み、戦争の悲惨さを訴え、誰もが「二度と戦争は嫌だ」というが、国内の米軍基地は強化される一方で、危険な普天間基地撤去も進まない。それどころか民主党政権までが辺野古移設を飲んでしまった。「平和のための軍備、核の傘に基づく平和」ということだが、これは本当のところで戦争を前提にしている話だ。一歩間違えば戦争になることを前提としている。情緒的な戦争に対する嫌悪感だけでは戦争に反対しきれないだろう。
 戦争は何故起きる、誰が起こす。その辺を押さえておく必要がある。
1929年の大恐慌に際し、アメリカを救ったのは、ニューデイール政策ではなく、戦争だということが本当のところ。需要を無視した莫大な過剰生産が大恐慌の原因で、戦争により過剰の生産物を破壊し、荒野の大地で再生産を始める。朝鮮戦争の特需で日本は戦後復興に弾みをつけた。自国での戦争は困るけど、他国の戦争なら儲かるのだ。資本主義社会において、戦争を起こしてくるのは大資本、財界で、政治家ですらその使い走りにすぎない。ブルジョワジーにとり問題なのは、人間の命ではなく、いかに資本主義システムを維持するかなのだ。この辺から戦争を考えていけば新たな展開が考えられるだろう。

2010年8月14日土曜日

平居宅へ新盆見舞い


5月に亡くなった平居先生宅へ新盆見舞いに行った。同行の84才の小林悟さんは「これからは間違いなくトロツキーの理論が再評価される。」と強調する。その勉強会をしないかと呼びかけられたが、これは疲れるねえ。
若松孝二監督といい小林悟先生といい、やたらと思いの強い高齢者が目立つ。「人生の残り時間が少ないから叫ぶんだ」という「あきらめのわるさ、往生際のわるさ」は絶対必要と思うけどね。
岩城さんは早速、シネマテーク高崎で「キャタピラー」を観たそうだ。客入りは満席、寺島しのぶはすごい女優だと絶賛していた。
そんな話を平居宅でしながら、9月11日に「平居照朗先生をしのぶ会」を開くことを決めた。


同級生の掛川からは、12日に御巣鷹山へ慰霊登山したというメールが届くなど、それぞれの夏を過ごしている。

そうこうしているうち、自宅に帰った小林先生から「車の中に俺の携帯なかったかい」という電話がある。完璧な人はいないよ。お持ちします。ということで、結構、騒々しい半日だった。

今年の早滝は滝壺に何本も木の枝が落ちていて中に入れる状態ではないが、とにかく空気が冷たくしまっていて心地よかった。どんなときでも一人の時間は確保します。

2010年8月12日木曜日

忘れるな、これが戦争だ。この夏必見 「キャタピラー」


14日から公開される予定の「キャタピラー」の先行上映がシネマテーク高崎で若松孝二監督と俳優の大西信満さんを招き行われた。土田君と観たが満席の状況、さすがベルリン映画祭銀熊賞受賞作品の人気は高い。

国を挙げての戦争は社会を戦争一色にする。またそうしなければ戦争は遂行できない。徴兵があれば、お国のため、と喜んで出て行かなければならない。この映画で両手両足を失って送り返されてきた夫は「軍神」と持ち上げられ、しかし、妻は言ってみればその後の介護が銃後の尊い仕事となる。腹をくくった寺島しのぶはやはりすごい。並の女優じゃない。
若松監督の反戦への強い思いがこの映画となった。国際社会で高く評価されるこの映画が日本でどれだけ支持を得られるか大いに感心がある。

 舞台あいさつでも、私が「重信メイの「秘密」という本の中で成田空港まで迎えに来たのは若松監督とあったが」と話し出したら、「いやレバノンまで迎えに行ったよ」といきなり話はパレスチナに飛んでしまうし、「菅政権の韓国併合に関する談話は不十分」と言い出せば、北朝鮮国内のよど号事件の赤軍派の話になるし、とにかく帝国主義と戦争への怒りは並大抵なものじゃない。「普天間基地は閉鎖しかない。どうしても造るなら東京湾、国会も皇居もあるし、人も多いから基地で守ってもらえばいい」と明快発言。
「この映画、若い人にも観て欲しい。」15才未満への規制など気にもしないところはさすが若松監督、フトイ。
サイン会場で大西さんに「連合赤軍」では誰の役をやっていたのか聞くと、板東国男という。「坂東さんはどうしてますかね」「パレスチナへ探しに行ったけど見つからないんだよ」と若松監督、すでにパレスチナには17回ほど行っているという。
いつまでも燃えている若松孝二監督に乾杯。

 話は変わるが、こちらは我欲で燃え尽きた81才浜田幸一先生、とうとうお縄ちょうだい。ラスベガスへ何度行ったか知らないが、絶対パレスチナへは行かない。モンゴルでの金の採掘には、他人をだましてもカネをつぎ込むが、朝鮮は見下し見向きもしない。彼が国会議員当時、自民党の内紛に際し国会内でバリケードをつくり、イスを振り上げ、カメラに向かってヒーローよろしくまくし立てた。「子ども達の未来のために自民党があることを忘れるな」。勘弁してよハマコーさん、聞いてる方がひっくり返る。
あのとき「愛国心はならず者の最後の拠り所」という言葉を思い出したが、こんな手合いがこの娑婆には大勢さんいるからたまらない。声だけは大きいのが特徴で周囲を威嚇しながら生息している。
それから森元首相の息子さん、酒が切れたらキャタピラー観て立派に更生してください。
 断然、鎖国派より国際派だよ。

2010年8月11日水曜日

韓国併合から100年の今年の政府談話

菅直人首相は韓国に対し、韓国併合から100目の今年、談話を発表した。政府の公式見解を述べることは、当然のことではあるが、内容に関しては相当腰の引けたものになっていた。武力により朝鮮政府を組み伏せ併合し、その後、内鮮一体として太平洋戦争まで過酷な強制と動員を繰り返していった事実はそう単純なものではない。
日本国内に今何故50万人に及ぶ在日コリアンが存在するのか。原点は日韓併合にある。その在日コリアンへの対応はまるで、朝鮮侵略を反省しているとは思えない。未来志向というなら在日コリアンへの正当な待遇をしたらどうなのか。ここから始めるべきだ。彼らとの信頼関係を築けずして日韓、日朝関係の未来はない。談話を韓国だけに発するという対応も情けない。朝鮮半島を植民地支配したのだから当然、現在国交がなかろうが北朝鮮へも向けて発するのが筋であり、それこそ未来志向だろう。
 当時、朝鮮から奪い、くすめてきた多量の文物を小出しに「返す」、それも返すという言葉を使わず「渡す」などといって大衆の目をごまかそうという政治はいけません。そのことに反発しない韓国政府もかなりどうかしている。

2010年8月9日月曜日

第16回アジア映画祭を観る

藤岡市で毎年この時期に開かれているアジア映画祭で全作品「長江に生きる」「ムクシン」「シルク」を観た。地元箱石の夏祭りも7日に終わり、じっくり過ごせた一日だった。どの作品も優れていて、世界のさまざまな地域での人の営みや苦悩を表現している。新井藤岡市長や小林日出幸さん、同級生とも顔を合わせた。こういう映画だけの一日があってもいいかな。

2010年8月5日木曜日

それぞれの思いと形でこの真夏に学ぶ

とにかく暑すぎる毎日だ。そんななか議会運営委員会は5日、6日と滋賀県大津市へ議会運営の研修視察に出かけた。自立した町の本格的議会運営の深化のため大いに勉強して欲しい。宇津木議長、嶋田議員と昨日、「にしきの園納涼祭」で一緒したとき、この研修への意欲を語っていた。
 
10日は経済委員会、総務委員会が所管事務調査を予定している。それぞれの委員会、それぞれの議員の活動は暑い夏も続いている。

玉村町は平和教育の一環として、昨年(インフルエンザのため中止)から各小・中学校2名の生徒計14人が6日に行われる広島での平和記念式典に参加することなどを制度化した。2人の教員が付きそう形での実質今年が初めての企画だが、今頃は現地に到着し、くつろいでいるだろうか、緊張しているだろうか。
何しろ、今年は世界から、特にアメリカからも代表が参加する。「核廃絶を言うなら、ヒロシマに来い」ということ。秋葉広島市長も「非核三原則の法制化」を明日のあいさつでは訴えるそうだし、若い生徒達には、大きな平和への夢と希望を抱くきっかけになればと思っている。