本作は、2008年に韓国で実際に起きた幼女暴行事件とその裁判結果を基に、被害者家族の苦しみと再生を描いた衝撃作。
監督は「王の男」(2005)で1230万人を動員し、現在でも韓国歴代興行成績ランキング5位(2013年時点)というメガヒットを打ち立てたイ・ジュンイク監督。本来ならタブー視される残酷すぎる事件をテーマにしながら、イ・ジュンイク監督は被害者の耐え難い苦しみに真摯に向き合い、被害者とその家族が絶望の中で見出していく希望を描くことで、これまでの韓国映画が繰り返し描いてきた復讐とは別の形の復讐を提示した。
監督の呼びかけに応じ、これまで「シルミド/SILMIDO」や「ザ・タワー 超高層ビル大火災」で演じてきたヒーロー像とは全く異なる、平凡で非力な父親を演じたのはソル・ギョング。あまりの重責に一度出演を断りながらも、役への運命を感じてからは、6キロの増量とすっぴんでの渾身の演技を魅せた母親役のオム・ジウォン。
そして、監督がその出会いを「この映画の宝であり、幸運」と言う、自然な愛らしさで目をひきつけてやまないソウォン役を演じた新星イレ。
並々ならぬ決心で参加した製作陣と俳優たちの心が観客の心をも震わせ、応援の声と涙は韓国で280万人を動員するロングランヒットを記録。2013年の青龍映画賞では主要7部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演女優賞、音楽賞、脚本賞)にノミネートされ、最優秀作品 賞、助演女優賞(ラ・ミラン)、脚本賞の3冠に輝き、2014年の百想芸術大賞でも主要7部門(作品賞、監督賞、男性最優秀演技賞、女性最優秀演 技賞、女性新人演技賞、脚本賞、男性人気賞)にノミネートされ、男性最優秀演技賞(ソル・ギョング)と脚本賞に輝いた。
シネマテークたかさき副支配人小林さんのお薦め映画だったが、こういう映画を韓国は作るんだ、と改めて思い知った。
今日が最終日、ギリギリ間にあった。観のがした人はどこかの劇場で是非見て欲しい映画だ。