聖者たちの食卓 |
シャトーブリアンからの手紙 |
一応は昨日で仕事納めということで、シネマテークたかさきで「シャトーブリアンからの手紙」を見ようと行ったら、時間を間違え、「聖者たちの食卓」を観、その後「シャトーブリアンからの手紙」、つまり2作品を観てしまった。
「聖者たちの食卓」
シーク教の黄金寺院では毎日10万食が巡礼者や旅行者のために、無料で提供されている。
そこは宗教も人種も職業も関係なく、みなが公平に空腹を満たす「聖なる場所」となっている。
その食事の準備の様子を映し出しているドキュメンタリー映画で非常に面白い。10万人の食事とトイレ、これはすごいだろう。
そして「シャトーブリアンからの手紙」
《監督は「ブリキの太鼓」のフォルカー・シュレンドルフです。この映画は、ナチス占領下のフランスで1941年に起きた「シャトーブリアンの悲劇」を描いています。1941年、一人のドイツ人将校がフランス人によって暗殺されます。この事件は「ナント事件」と呼ばれますが、この報復にヒトラーは、フランス人150名を銃殺するよう命じました。シャトーブリアン郡の収容所から、人々が選ばれましたが、その中で一番若かったのが、17歳のギィ・モケ(Guy Môquet)でした。
死後、彼はレジスタンスの象徴として扱われるようになります。
パリの地下鉄には、彼にちなんだ名前の駅がありますね。
そして、こちらが死を前にして書いた彼の手紙です。
本文はこちら↓
Châteaubriant, le 22 octobre 1941
Ma petite maman chérie,
Mon tout petit frère adoré,
Mon petit papa aimé,
シャトーブリアン、1941年10月22日
親愛なる母さん
ちっちゃい大好きな弟
愛する父さん
Je vais mourir ! Ce que je vous demande, à toi en particulier petite maman, c’est d’être très courageuse. Je le suis et je veux l’être autant que ceux qui
sont passés avant moi. Certes, j’aurais voulu vivre, mais ce que je souhaite de tout mon coeur, c’est que ma mort serve à quelque chose.
僕は死にます! みんなにお願いしたいことは、特に僕の大切な母さん、気を奮い立たせて毅然としていることです。僕もそうあります。僕の前にいた人たちのようにありたいのです。たしかに、僕は生きたかったです。でも、心から望むことは、僕の死が何かの役に立つことです。
Je n’ai pas eu le temps d’embrasser Jean. J’ai embrassé mes deux frères Roger et René. Quant à mon véritable, je ne peux le faire,hélas ! j’espère que toutes mes affaires te seront renvoyées, elles pourront servir à Serge qui, je l’escompte, sera fier de les porter un jour.
ジャンにキスをする時間はありませんでした。二人の兄弟(分)、ロジェとリノにキスをしました。本当の弟には、キスできないですね、あぁ!
僕の身の回りのものが全部、送り返されますように。いつの日か、セルジュの役に立ち、身に着けることを誇りに思ってくれると思います。
À toi, petit papa, si je t’ai fait ainsi qu’à ma petite maman bien des peines, je te salue pour la dernière fois. Sache que j’ai fait de mon mieux pour suivre la voie que tu m’as tracée.
父さんへ。母さんに与えたような苦痛を父さんにも与えたなら、最後に父さんに挨拶をします。僕が、父さんが示してくれた道を進もうと、精一杯最善を尽くしたことを知っていてください。
Un dernier adieu à tous mes amis, à mon frère que j’aime beaucoup, qu’il étudie, qu’il étudie bien pour être plus tard un homme.
17 ans et demie (sic), ma vie a été courte, je n’ai aucun regret, si ce n’est de vous quitter tous. Je vais mourir avec Tintin, Michels . Maman, ce que je te demande, ce que je veux que tu me promettes, c’est d’être courageuse et de
surmonter ta peine.
最後に、全ての友達に、そして、立派な男になるためによく勉強している大好きな弟に、お別れを言います。
17歳半、僕の人生は短かったです。僕は何も後悔していません。もし、みんなと別れるのでなければ。僕は、おじさんのミッシェルと死にます。
母さん、僕が母さんにお願いしたい事、母さんが僕に約束して欲しいこと、それは、気を強く持って、苦痛を乗り越えることです。
Je ne peux pas en mettre davantage, je vous quitte tous, toutes, toi maman, Séserge, papa, en vous embrassant de tout mon cœur d’enfant. Courage !
Votre Guy qui vous aime.
Guy.
これ以上は書けません。僕はみんなの元を去ります。みんな、母さん、セルジュ、父さん、心からみんなにキスをします。勇気を持って!
あなたたちを愛しているあなたたちのギィ。
ギィ
Dernières pensées : vous tous qui restez, soyez dignes de nous, les 27 qui allons mourir !"
最後に:残ったあなたたちは、私たち死にゆく27人にふさわしい存在であり続けてください!》
この映画はドイツ人監督フォルカー・シュレンドルフにより独仏合作映画として製作された。
ドイツ軍に処刑されるとき、インターナショナルを歌い、「ドイツ共産党万歳」と叫ぶフランス・レジスタンスのシーンは印象的だ。労働者の国際連帯は当時もあった。
完全に腰の抜けた若いドイツ兵を描くことにより、「命令の奴隷」にならなくていいんだ、と言っているようにみえた。
歴史を記憶することこそが、過去を乗り越え、和解へ向かう道筋と教えている。
この4月、中国の南京に行ったときのジョン・ラーベの「許すことはできる。しかし、忘れてはならない」という言葉を思い出した。
南京大虐殺事件を史実に基づいて日中合作で映画化するくらいの状況ができないと、東アジアの真の友好は困難だろう。
「シャトーブリアンからの手紙」は1月2日まで
「聖者たちの食卓」は1月9日まで上映、(シネマテークたかさき)
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