みんな寿命を全うしようぜ

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西表島で会った昼の蝶

2016年12月14日水曜日

生活再建型滞納整理を滋賀県野洲市に学ぶ

野洲市市役所前で














 生活再建型滞納整理を実践している滋賀県野洲市を玉村町議会総務常任委員会は視察研修の場とし11月訪問した。

<公共サービスを支える財源は税、公共サービスの対価は料金、滞納の補填はいずれも税財源>、として捉え、「滞納は生活状況のシグナル」として、市民生活を支えるための財源(債権)なのだから、市民生活を壊してまでは回収しない。滞納を市民生活支援のきっかけにする、という考え方を基にしている。

野洲市くらし支えあい条例の一部を抜粋する。
「野洲市では生活が立ち行かなくなった市民に対して、生活の困りごとを解決するという大きな括りで捉えて支援を進めてきました。問題に個々に対応するのではなく、相互関係を把握し、一体的な解決を目指して、「おせっかい」を合言葉に、市役所に設置した総合相談窓口を核にして、公共サービス、専門家、地域社会の総合力を効果的に発揮させる仕組みを発展させてきました。
このように市民の生活の困りごとを解決し、自立を促し、生活再建に向けた支援を行うことは、市の重要な役割です。その場合、個々人の状況が異なるため、一人を支援することからを基本に、包括的、継続的に支え合う仕組みが機能することが不可欠です。・・・近江商人の教えである「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三方よしの精神のもとに、商いが自らの利益のみならず、買い手の利益、さらには地域社会の発展や公共の福祉の増進にも貢献する建設的な関係で進められることが、問題発生を予防するとともに、市民の自立と地域社会の健全な発展を促進します。・・・」


「生活をつぶすまでの差し押さえはしない、つぶさない範囲での対応をする」 というところから説明を受けた。
<一人を救えない制度は制度ではない>、という思いが市政全体にあり、全職員の理解と協力があってこその生活再建型滞納整理といえよう。
縦割り型行政から全課縦横の対応、庁舎内に設置した「やすワーク」(ハローワーク)による就職相談も実を結んでいる。また、庁舎外の専門家と連携し、その解決を図るという積極姿勢で生活再建型滞納整理を実施している。
市税の収納状況については、国民健康保険税は滋賀県内で中位、他の市税は県内上位という。
滞納者の実態把握と悪質な滞納者に対しては差押等できちんと対応し、「法令順守」の姿勢は変わらないが、その中身、運用が「滞納者の生活再建」という目標に合わせた柔軟さ、寛容さ、多様さを持っていることが特徴で、格差社会の進行で、持てる者と持てない者が感情的と言えるほどの対立状況にある現代社会においての行政対応として大いに学ぶことがある。
同じ日本の自治体で、これほど滞納徴収の姿勢に違いがあることが不思議で残念なことだが、行政本来の役割を考えれば野洲市のようにできることだろう。
  本当に市民に寄り添う気持ちがあるか否かの違いだ。 しかしその違いがあまりにも結果として大きいことを自覚すべきだ。

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