政権交代の成果が見られないとよく言われる。そうはいってもまだ1年だから長い目で見ようよ、と言う人もいる。
しかし、えん罪に関して言えば、その再審は喫緊の課題だし、代用監獄に象徴される明治時代の遺物になにも手をつけられない新政権ていかがなものでしょう。弾圧を欲しいままにしていた権力側が青くなるような改革をすることを政権交代の中にに求めている人はたくさんいるのに、自民党政権と全く変わらないのではどうにもならない。
袴田事件で描かれているものは、代用監獄での過酷な拷問ともいえる取り調べの中で、「とにかく自供しろ、裁判で争えばいいんだから」と強制された自白でさえ、いざ裁判になれば、その自白の任意性を裁判所が否定することはほとんどない。1年後に不自然に発見された下着類を事件の証拠にさえして、当初の検察側の主張との齟齬すら見逃し死刑判決を下す。裁判を人生の出世の道具にしている裁判官が多くいる中で、良心と正義を貫こうとしている裁判官を描いた作品。
裁判員裁判で死刑判決さえ予想される今日、改めて裁判員制度の是非を考えるためにも必見の作品。
シネマテーク高崎で9月3日まで。
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