ベルリン国際映画祭は「キャタピラ-」(若松孝二監督)出演の寺島しのぶを女優賞受賞者として選出した。
若松監督といえば、学生の側から「日本赤軍・浅間山荘への道程」を制作した人だ。徹底破壊された浅間山荘には、自分の別荘を使用した。「映画人生の中で建てた別荘は映画で壊してもいいだろう」との言い分らしい。まあすごい人物であることは事実。
重信メイが書いた「秘密」という本がある。高校の同級生の岩崎から借りた一冊だが、読み出すと興味深い話がたくさん書かれていた。彼女は重信房子とパレスチナ人の間に生まれ、難民キャンプで無国籍として少女時代を送った。成長するにつれ、いろんな「秘密」をかぎ取ってしまう訳だが、母親には何も知らないことにしていた。大人になり母親から事実を告げられたとき「知ってたよ、あえて聞かなかっただけ」と答える。そして母から日本へ帰るように言われ、日本国籍を苦労して取得、成田空港で迎えてくれた人が若松監督だった。パレスチナの苦悩を知り尽くしている彼女は母親とは違う方法で世界の貧困、差別、戦争と向かい合う決意をしている。
内容が肩肘張らず分かりやすく、夢もあるので、理解してくれそうな友人にひとり、ひとり貸しては返してもらっていた。評判はすこぶるいい。しかし、無期限の貸し借りなので今、あの「秘密」がどこに行っているのかわからない。どこかにとどまっているのではなく、色んな人の目にとまっていることを願うのみだ。
追伸、映画「ドキュメンタリー頭脳警察」というチラシを手に入れた。そのうちシネマテーク高崎で上映されるだろう。私が学生の頃、叫んでいた反逆のロックグループ、とにかく聴く方がぶっとんでしまう。初めて聞いたとき、こんなことを歌にしていいのかよ、と思ったくらいだ。その頭脳警察がまだ演奏活動を続けているというから驚きだ。ファンがいると言うことなんだろう。あれから一回りして時代が頭脳警察の登場を求めているのかもしれない。その中で、重信房子の詞に曲をつけ、アルバムを制作、娘メイを迎えてレコーデイングをした。さらにフセインの孫にあたる14才の少年が、ひとりで200人の米兵と戦った実話を基に生まれた「7月のムスターファ」では、カメラは凍りつくような殺気を記録したという。
私たちは日本に住み、様々なものを「これが当然」と思い込まされている。しかし、それらのものは「日本人」にとり耳障りは良くても、国際感覚からはずれていることが多い。現に隣国との摩擦解消には役に立っていない。名前を挙げて悪いが、若松監督やら、重信メイ、頭脳警察、在日、滞日外国人をどこか「周辺の人たち」という感覚で見てはいないだろうか。しかし、丸い地球、どこをとっても中心になるのだ。現在の難しい国際情勢を読み解く鍵は、実はこうした、一見「お行儀の良くない人たち」の発言と行動にあると考えている。何しろ国際感覚が「日本人に没頭する人たち」以上であることが多くの場合言えるからだ。
スポーツの世界を見たら明らかだ。ほとんどの選手のコーチはあえて外国人を選んでいる。
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