《ハナ 奇跡の46日間》 |
1991年世界卓球選手権(開催地・千葉県幕張市)で結成された南北「統一コリア」チームを描いた映画だが、当時は韓国の軍事独裁政権の延長線上の時代なので南北間の緊張はものすごく厳しかった。
87年、盧泰愚大統領が民主化宣言をしたが、まだまだ在日はよく捕まっていた頃、なぜ統一チームができたのか。
荻村伊智朗が国際卓球連盟の会長になり、彼の努力により実現したのだが、その道は険しかった。
荻村は選手時代を通じて、長い時間をかけてできた友人が南北にいた。そして中国の周恩来から絶大な信頼を得ていた。
あの時代に韓国や北朝鮮に行って交渉しようなどという気持ちになること自体が希有な状況の時、彼は韓国に20回、北朝鮮に15回行って交渉した。あきらめないということ。
しかし映画には統一チームになる経緯が描かれていない。
1980年生まれのムン・ヒョンソン監督がなぜ統一コリアチームができたかという経緯を全く知らなかったのだ。
単純なエンターテイメントとして、シナリオを作っていた感じだったが、日本に来て卓球関係者に会う度に「なぜ荻村さんが描かれていないの?」と言われ、最終的にパンフレットを作るときに荻村の名前を入れた。
今年の5月、パリでの世界選手権で史上初めてミックスダブルスで男女の北朝鮮と韓国が決勝で対決し、北朝鮮が勝った。
「今、北と南は大変でしょうけど、それに関してはどう考えているか」という記者の質問に対し、韓国卓球協会副会長は「スポーツをやりに来たので、そのような質問に対しては、今は答えられない。ただし韓国の代表として、北朝鮮の兄弟が優勝したことに対して祝福します」と述べ、優勝カップを北と南の人が持って一緒に記念撮影に収まっていた。
北朝鮮は当時の選手が今は選手団の団長になり、韓国でもヒョン・ジョンファという選手がこの間のオリンピックまで専務理事だった。
幕張の世界選手権「統一コリアチーム」の感動は息づいている。
国境を越えた「おせっかい」がいることが大事、「第二の荻村伊智朗よ、出でよ」と対談は結ぶ。
映画「ハナ」にはハ・ジウオン、ぺ・ドウナが主演する。
日本の浅はかな政治により日韓、日中関係が不安定になっている時だけに、是非、観て欲しい映画作品だ。
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